ママの出産記録2

 

 その日の夜、もう日付も変わった2時頃痛みで目が覚める。うとうとしながら間隔を計ってみると10から15分。 朝5時半頃ナースコールをして、分娩室へと行く。またCTGをすると10分間隔の陣痛だった。

 7時半頃主人が病院に着くも、病室はもぬけの殻。病棟の看護婦さんに聞いて分娩室へとやってきた。ずっと10分間隔の陣痛が続くが、まだ全然我慢できる。  9時頃主人と一緒に朝ご飯を食べる。分娩病棟のパートナー用待合室で食べた。こういう対応は良いなと思う。パートナーの朝ご飯は土壇場でも提供してもらえるし、昼ご飯や夕飯はあらかじめ言えば、追加料金(産婦の分は元々保険会社負担なので払う必要はない。)で、提供してもらえる。

 「まあ、じっと待ってるのも何だし、外をお散歩してきたら?」とヘバメに言われ、主人と外に出る。夏の暑い、でもまだ過ごしやすい午前中、いい気分転換だった。破水の際は安静にしていると思っていたのだけれど、羊水量が十分で、濁ってないなら別にその辺は臨機応変のようだ。散歩から帰ると、私の居た分娩室には別の妊婦さんが!分娩室は満室で、その妊婦さんは3人目の経産婦で、間隔もどんどん短くなってきているので、一番生まれる気配のない私が病室に逆戻りと言うことになったらしい。戻る前に、またあの痛い子宮口チェック。柔らかくなってきたが1センチしか開いていないと。    

 そうそう。昨夜破水で入院したとき、教室で一緒だったイタリア人女性と入り口で出会った。彼女は、赤ちゃんが大きくなりすぎてしまい、陣痛促進剤を打ってもらうために入院となったらしい。病室に逆戻りのとき、ヘバメに聞いたら彼女もまだ陣痛が始まったばかりだそうだ。彼女も頑張ってるんだし、と知ってる人と一緒に出産しようとしてるなんて、かなり心強かった。    

 昼ご飯を食べたり、昨夜ほとんど眠れなかったので昼寝をしたり、散歩をしたり、CTGでチェックしてもらったりしたのだが、陣痛の間隔は短くなるどころか、、、、止まってしまった。夕飯も食べて、羊水が濁ってないかのチェックをしてもらったが、まだきれいだった。そして、主人はまた家へ帰っていった

 またまた日付が変わった水曜日の1時頃、再び10分間隔の陣痛で目が覚める。CTGでチェックしてもらっても陣痛が規則的にあるとのことだったので、7時頃再度分娩室へと向かう。  またまた病室へと到着した主人は、私が居ないので、分娩室だろうと見当をつけてやってきた。昨日の陣痛とは違うのがよく分かる。かなりひどい生理痛という感じが続いていた。とても朝食の気分ではなく、私の分は主人に食べてもらう。子宮口のチェックもあるがやっぱり痛い。「リラックスしなきゃ駄目!」とヘバメ(多分ヘバメの中で1番か2番目に偉いコワーイ人だった。)に怒られるが痛いもんは痛い。  

 吐き気がしてきて2,3度吐いた。出来ることと言えば横向きで寝ていることだけ。それじゃ子宮口はなかなか開かないと言われ、横になりながら膝と膝の間に大きな枕を入れ少しでも開くようにされる。教室で習った様々な姿勢を試したけれど、この時点では横向きで寝ていることしかできなかった。そして、主人に腰骨を両脇から押し込んでもらうと痛みがかなり和らいだ。でもあまりやると陣痛が進まないと言われる。  そのヘバメのシフトが終わるとき、子宮口を確認したのだが、私は、これだけ痛いんだからもう8センチぐらいだろう、お昼頃には生んでるはず、と、まだまだ安産へ希望を持っていた。だが、まだたったの2センチしか開いていない!!痛さで悲観的になりつつあった私は絶望感に包まれてしまった。でも彼女は「いつになるかは分からないけど今日中には生まれると思うわ。」と言った。  

 陣痛が5分間隔になってきたときの痛みは、あの子宮内膜症の時の痛みと全く同じだった。熱い針か何かで滅多切りされているようなあの痛さ。私は、あの頃陣痛と戦っていたのだ。今回の、本当の陣痛の救いと言えば、出産が伴うことだろうか?  陣痛の合間にうとうとと眠たくなる。ほんの1分かもしくはそれより短い間、寝ては起きを繰り返す。そして、眠っていく途中で自分でもなんだか訳が分からない、何語でしゃべってるのかさえ分からない変なことを話している。眠るのも、しゃべるのも意識があるんだけれど無意識のうちにしている、不思議な感じだった。  

 交代で勤務に入ったヘバメが、お風呂を勧めた。そのため、バスタブのある隣の分娩室に移動となった。裸になってバスタブにつかる。陣痛は相変わらず痛かったのだが、自分でもリラックスしていくのが分かった。このままずっと入っていて良いか聞いた。「破水してるから分からないけれど、状況が良ければ水中出産も可能よ。」と言われる。  

 その後何回か子宮口の開きをチェックされたが、子宮口が実際に開いていき、柔らかくなるのに伴って、痛さも感じなかった。確か2時間ほど浸かっていただろうか?ヘバメが、水中だと、痛みが多少和らぐが、進行が遅くなるのでもう出よう、と言う。仕方がない。痛いのは嫌だが、長引くのも嫌だ。    お風呂から出た後は、出産で使う、U字型のいすに座ることになった。この時にはお腹というより腰が痛く、自分でも赤ちゃんが下がってきているのを感じていた。後ろで支えてくれている主人の首を、痛みが襲う度に絞めていた。主人が私の分の夕飯を食べに行った。助ける方にも体力はいる。ささっと食べて戻ってくる間、見習いのヘバメに支えてもらっていたのだが、彼女の首も絞めていた。  

 いよいよ子宮口も全開大になったのだが、赤ちゃんがなかなか下りてこない。いきんでみても下りてこないので、分娩台に移ることになった。このころは、ヘバメも見習いヘバメも自分たちのシフトはとっくに終わっていたのだが、私達のために超過勤務に入っていた。  

08/03/01