ボン君の成長記録(3才4か月から3才6か月まで)
寒い冬という事もあり、母子で買い物以外は家に閉じこもりがち。なるべく外に出ようとするのだが、元々出無精な上に、外が寒いと外出準備も大変で本当に億劫。
この頃の私の日記を見ても、子供と何をして遊べばいいのか分からない、今日も私は自分のやりたい事ばかりしていて彼を放っておいた、という反省の文が続く。
いわゆる工作、というのも私の不器用さでは出来ない。子供と自動車で遊ぶというのも私の方が辛い。
でも、考え方を変えた。
別に”遊び”という事にこだわらなくてもいいんじゃないか?私がする事を彼と一緒にするという事は大切な事なんじゃないか?と。
例えば、夕食の支度でも、サラダを千切るとか、小さな、刃の鋭くない果物ナイフでトマトを切るとか。彼と一緒に出来る事がたくさんある事に気付いた。
買い物でも、いつも私は”あーさっさと家事して、あの本読もう。”と急いでばかりいたけれど、結局息子の起きているうちは集中の要る事は何一つ出来ないのだから、ゆっくり焦らず急がずで、彼のペースで過ごせばいいじゃないかと思ったのだ。
ばかばかしいと思われるだろう。子供にすべてを注げる人にとっては。でも私にとっては一つの節目だった。
手先を使うという事の大切さは分かっていたので、手伝いのみならず、何かいい事はないかと色々考えてみた。
ある会社のドリルのような物を買ってみた。といっても足し算をさせたりするものではなくて、迷路のような物。太いクレヨンでも書けるような、余裕のある紙使いのもので、これは彼はすぐに夢中になった。はじめは紙の端から端まで、ギザギザでも何でもいいからたどり着けばいいものだったのが、だんだん難しくなって来る。
同じ会社のもので、紙切りや、ひらがなのような字を書く練習帳もあって買ってみた。全て彼の気に入った。何も外で走り回らなくても夜は彼も疲れてぐっすりと眠った。
シュピールグルッペの方は、朝は連れて行くと泣くようになったのだが、先生によるとそのあとはけろっとしているらしい。
嬉しい報告があった。
粘土で遊んでいた時、他の子供達は先生に”丸めてみたら?”とか、”これの型で抜いてみたら?”と言われないと遊べなかったらしい。しかし息子は、粘土を前にして、独創的に色々なものを”これは象だ”とか言って作っていたらしい。まさに望んでいた事で本当に嬉しかった。
小さな変化だけれど、私はそれまで朝シャワーをしていたのだが、この頃から夜のシャワーに変えた。日本ではずっと夜お風呂だったわけだから変な話だが、こっちに来てから、朝、夜中の寝汗やなんかをすっきりとシャワーで落とし、頭も起こさないと一日中気持ち悪かった。
でもそれは朝バタバタしてしまうと言う事。
思いきって夜のシャワーに戻した。そしたらあっさりと慣れて、しかも朝は急がなくてもいいからいら立つ事もなく、成功だった。
親ばかの様だが、息子にはある日突然びっくりさせられる事がままある。
この頃は冬で、一度たくさん雪が降ったときにそり滑りを何人かの子供と一緒にした。DAVOSと言う形の、どちらかというと小さな子供向きではないそりがあるのだが、それで、初めてなのにバランスを上手に取りながら急斜面を滑り降りたのだ。これには他のお母さん達もすごいと言ってくれて、息子は自信を付けたようだ。褒められるという事は大切だ。
また、”Q”と”H”をいきなり紙に書き”これはキューとエイチだ”と言ったときにはびっくりした。もしかしたら無意識の内に私と主人が言っていたのかもしれないが、恐らく形なり読み方なりを息子は気に入って覚えていたのだろう。
学習というと堅いが、子供は学ぶ事が大好きなのだから、押し付けずに、興味を持った時を狙って、おだてて学ばせるというのが息子には合っているようだ。集中力も付くし、そして一番大事な”自信”に繋がる。
私は人付き合いが好きではないし、苦手。あえていうなら狭く深ーく付き合いたい。でも、日本語、日本人、日本の文化に触れる機会が限られているここでは、そうも言ってられない事がある。私一人の事ならどうだっていいのだが、子供にはそういうものに触れて欲しい。だから色々機会があれば日本人ママ、子供の会う場にも行っていたのだが、ここに来て限界。
みんなとウマが合うという事も不可能なのだが、あるお母さんと会うのがものすごいストレスになってしまった。あまり書くのも何なんだけど、要するに私の何かに嫉妬をしていたんだろうと思う。恐らく私の教育方針に。
彼女に良く思われていない事に気付いてからは、私の方も彼女が苦手になってしまい、良く思い返してみると、私も彼女の育て方にはまるで賛成できないのだった。
一例だけれど、例えば私は”ママー”と言われても返事しかしないだろう。彼女の場合は”ミルク?”と聞くだろう。世話を焼き過ぎるという勘違いの愛情を掛けている彼女の考え方は今もおかしいと思う。子供の能力(”ママミルクちょうだい”と言うか、もしくは自ら冷蔵庫に行きミルクを取り、グラスに注ぐか)をもっと信じ、尊敬したらどうなんだろう。
22/08/04